メンブレンスイッチの特徴

メンブレンスイッチの特徴

自由なデザイン

プリント基板コントロール基板とは別にスイッチを配置できます。プリント基板上に実装部品やパターンが集中してあると、スイッチを配置できないことがありますが、メンブレンスイッチは、基板とは別にケースの上にスイッチ部分を貼り付ける構造なので、表面シートも、部品配置を気にせず自由にデザインできカラフルな配色で、イメージ通りの操作パネルが可能です。また、スイッチの大きさやエンボス形状を変化させたり、和文、英文といくつもの表面シートデザインを作ることも可能です。

すぐれた耐久性

スイッチ全体を粘着性の強い材料で覆うように接着することで、耐水、防塵、耐薬品に優れています。

軽量・薄型・高信頼性

何層ものフィルム材を貼り合わせた構造であるため、薄型・軽量化に貢献しますし、機械に動くスイッチでないため高信頼性も図れます。

低コスト・短納期(一ヶ月前後)

初回イニシャル費は必要になりますが、他のメカスイッチに比べて安価に製作ができ、設計・印刷・組立と一貫して製作しているので短納期にも対応できます。印刷なので生産量が多いほど製品単価りコストダウンとなりますが、LED実装がある製品では、基板はんだの様には下がってきません。

クリック(操作)感

表面シートにエンボス加工したり、キー内部にドームを置くことで押下力の違ったクリック感を得ることができます。

ノイズ対策

銅箔、アルペット(アルミ箔とペット材の複合材)、銅箔等の部材を挟み込んだり、電極パターンの裏側に銀印刷を行うことで、ノイズを軽減することも出来ます。

メンブレンスイッチの構造・種類

一般的なメンブレンスイッチは、(接点)上部電極と下部電極の間にスペーサ材を挟み接点を浮かす構造で出来ています。
このスペーサの材料厚み分で、接点が離れた状態が保たれています。接点部が押下すると、接点が接触し電気的に導通しスイッチの役目を果たします。

SW構造例.pdf へのリンク

メンブレンスイッチの種類
構造の違いによる組み合わせでいくつかのタイプ分けできます。
配色・キー形状を自由に配置でき、LEDやドームを内臓したり、エンボスを組み合わせたりすることで豊富なデザインやクリック感にバリエーションをもたせた製品開発ができます。

接点シートの違いにより

上下電極タイプ

上部電極と下部電極が別々に構成するタイプです。折り曲げ部の膨らみは出ません。が、マトリックス回路はジャンパー印刷で可能になります。

折り曲げ電極タイプ

上部電極と下部電極が1枚につながったシートで印刷され、折り曲げて構成するタイプです。設計を工夫することでコストメリットが大きくなりますが、折り曲げ部分に膨らみが発生することがあり、膨らみ部分から、水等が内部に浸入してしまうことも考えられます。

(裏面より撮影)
折り曲げ部は切り欠けで膨らみ吸収していますので粘着がありません。表面シート側へも膨らみは出ます。

折り曲げ部が膨らむ。

表面の違いにより

フラットタイプ

表面が平らで最も安価なタイプです。上部電極と下部電極を、貼り合わせてフラットな表面シートを貼り付けたタイプです。
表面シートの意匠印刷でキーの位置を識別することになります。
ストロークもほとんど無く、押した感覚も出にくいものなので装置側でブザー音などで発したほうがよいと思います。スイッチが認識していないと思うと、再び強く押し込んでしまうことでしょう。

エンボスタイプ

クリックエンボスタイプ

メタルドームを内蔵するのではなく確かな操作感を得るために表面シートにエンボス加工を施し、押したときにクリック感が出るように加工したものです。また、表面キー部が膨らむのでキーの位置を的確にとらえることが可能になります。
エンボスの形状・大きさや荷重はいろいろ選べます。
エンボスの形状は丸や楕円とさまざまで、高さは0.4~0.5ミリ程度で、スイッチの位置や仕様にあわせたエンボス金型が必要となります。エンボスに標準品はありません。

サイズ径の大きなものや三角や四角など角がある形状はクリック感は出にくくなります。クリック感を求めるなら、ドーム形状としてください。

表面シート凸(エンボス、モールドプリント、ポッティング)

エンボスのいろいろ
キー部にエンボスを施せば、凸膨らむことでキーの位置が明確になりクリック感も得られます。LEDのチップ高さを吸収するためにも使われます。
多角形や楕円形状、上面がフラット、形状や大きさは、いろいろご希望に合わせて対応します。あまりエンボスどおしを近づけることは出来ません。粘着材で貼り合わせるため、糊の接着面積を考慮します。
粘着材は、エンボス径より、穴径を大きくして糊逃げします。

点字のエンボスです。

ウレタン材へのエンボス例です。
エンボス高さも1mm以上に盛り上げられていることが分ると思います。
ウレタンは、経年で材料色に黄ばんでくる難点があります。

ラインエンボス、デザインエンボス

左側PC(ポリカ)材、右側PET材です。裏面の撮影ですが違いがわかるでしょうか。
ポリカは、メリハリのあるライン形状で囲みの中もフラットに仕上がりまますが、PETはそうでもありません。囲みの内側がフラットにならずタワミが発生しています。多少膨らんでいるのが分ると思います。金型形状で表面へ膨らむように補正しフラットに見えるようにします。
ラインエンボスや高さの必要なエンボスは、ポリカ材がPET材より綺麗に仕上がりますが、クリックエンボスなどには硬く割れてしまい不向きです。

モールドプリント、ポッティング仕様
エンボス型押しではなく樹脂を盛るタイプになります。違いは、ポッテングは樹脂を垂らすように形を作るため丸みを帯びますが、モールドプリントは、凹み金型を使って形状を作り出すので、角のある形や高さなども精巧にデザインすることが可能です。

モールドプリントは、ポッティングとは違い鋭角形状も高さも調整できます。

モールドプリント
左側(裏面)で、φ5金属ドームを押下すための凸(押し子)になります。金型成形なので押し子の高さ形状、位置はばらつくことはありません。

上の写真(試作時)は、高さ形状が変化しているのがわかるでしょうか。凹み金型で形状を成形して作られるのでこのように形の調整が可能になります。

表面シート材
通常品は片面ハードコートされ、若干白く曇った感じがある素材を使用しています。
(ハードコートにも種類があり)フィルム材を変えることで、艶々したものやザラザラ感のある材料を選択することも可能で、LCDパネルなど表示部がある場合は、両面易接着にすることで窓を透明にすることが出来ます。両面易接着剤であれば両面に印刷が出来るわけで、裏側に配色を印刷し表側にUV印刷をすることもでき、乳白のシボ目を施したりすると、下の色が違う色に見えます。

地色の黒色が表UV印刷した箇所としていない箇所で光の屈折で違う色に見えます。
ただ、ハードコート処理の材料とは違いUV印刷していない部分、剥き出しになった易接着層が柔らかいため、擦り傷が目立ってしまうことがあります。
なお、メーカーにてハードコート処理されている材料には、UV印刷をすることは出来ません。

線や文字デザインは、最低2配色あれば表現も出来ますが、配色数を多くしたり、UVラメでキラキラ光らせたり、ヘアライン調やミラーインクなどを使用し、少し変わった高級感もだせます。
ミラー印刷は割高になってしまいますが、上の白線丸囲みをミラーに切り替えるだけで、見た目だけなのですが高級なイメージに変わります。

大判印刷 表面シート

大きすぎで全体を撮影できませんが1600×1000までのサイズなら印刷が可能です。

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