メタルドーム付きタイプ
表面シートとメンブレンスイッチの間に皿バネ(金属ドーム)を組み込むことでクリックエンボスタイプとは違った操作感を得ることができます。色々なサイズ、押下力の違うドームを用意していますのでお好みにあわせて選択可能です。
表面シートのエンボスとの組み合わせた製品も好評です。
メタルドームの導電性を利用し、接点の上に置き接点として使うことも出来ます。
メタルドーム:ステンレスの薄板を皿状に打ち抜いたもので、ドームの反り返りを利用してクリック感がえられ、また、裏に銀メッキがされたものや金属の通電性をいかし、メタルドーム自身を接点として利用することもあります。
注意点:メタルドームは、薄い金属板に精密なフォーミング加工が施されています。過度の応力で変形してしまうことがあります。変形してしまうと元の形状に戻ることは無く、操作感が損なわれ支障をきたします。
上の写真は、実際に市場クレームで戻されたものです。
表面シートが貼られている状態では、メタルドームの変形、傷が付いていることは確認できません。鋭利なもので押さない限り表面シートにキズが付くことは殆どないからです。キズが無くとも表面シートを剥がし分解してみると、このようなことになっています。おそらくドライバーやボールペンなどで押下した(叩いた)のでしょう。
指先での押下であればこのようなキズは付きません。明らかに硬いもので瞬間的に過度の力で叩かれダコンになってしまったものと思われます。
メタルドームが一旦このようになってしまうと、クリック感はなくなります。最悪、変形した形状によってはスイッチが常時押されて、ONからOFFにできないことになってしまうかもしれません。
使用中にクリック感に違和感が出て、ON/OFFできないなどの不具合が発生し、メタルドームの変形が疑われる場合は、メンブレンスイッチを筐体から剥がさずに表面シート1枚を剥がして確認してください。無理に剥がしたことで、さらに変形が起きてしまいます。
弊社へ返却されるときは、スイッチを剥がそうとせず、貼られている状態で送り返してください。無理に剥がすとメタルドームが変形し、剥がした事で変形したのか分らなくなってしまうからです。
ドーム径φ5など小さくすることで、上記のような変形は起こることはなくなります。
しかし、ドームが小さいと指腹で直接押すことが出来なくなり、表面シート裏にメタルドームを押下すための凸(押し子)が必要になります。押し子により間接的にドームセンターが押されるため直接傷を付けることはありません。また、基板に実装されるタクトスイッチを分解してみると、小さなメタルドームが入っており、同じ構造で機能していることが分ります。
PETドームタイプ、ポリドーム
表面シートのエンボスと同様にPET材にエンボス加工を施し、挟み込むことも出来ます。金属とは違う形状やサイズで加工が可能です。
防水枠タイプ
通常のメンブレンスイッチは、何枚もの粘着材が重ね貼られています。側面に接着力が弱い箇所があると水が浸入してしまいます。もっと眼懸念される箇所がテールの出し位置です。
最近の携帯電話など防水仕様をうたって販売されていますが、永久的に防水ではありません。粘着材の接着力に頼っています。
メンブレンスイッチの防水の方法として
防水枠材には、アクリルフォーム構造用接合テープなどを使用しますが表面シートと筐体との接着力に頼ることになります。表面シートの外周に強力な粘着材で5mm幅の額縁状に設け、筐体に直接接着するようにします。枠幅が細く出来ないのはアクリルフォーム材は発砲材で細かい泡の集まりです。気泡のことをボイドと呼びます。このボイドが切断面に発生していたらどうでしょうか。気泡が大きければ、枠幅の意味を成しません。
最近では、防水仕様のタブレットなどで、良い材料が開発されています。枠幅も2mm接着で防水材料としてメーカ保障されたものもあります。厚み0.2mmほどの材料のため、筐体で粘着段差を調整する必要があります。防水材料は、薄い粘着材でボイドの発生状態も確認できます。
話を戻して、防水枠で囲んだ中に一回り小さくなったスイッチ部を入れています。スイッチ構成材の側面が露出していないので、たとえ接着が弱い箇所があっても枠材が水から守ってくれます。
下の図面で赤い枠が防水枠になります。その中に一回り小さくなったスイッチ本体が組み込まれます。
完全防水を保証しているものでもありませんので、長時間水に浸される状況下では粘着材は溶け出し水は浸透していきます。濡れたら放置せずに拭き取るようにしてください。
LED実装タイプ
メンブレンシート内部にLEDチップを搭載すること可能です。
LEDチップは高さがあるため、表面シートにエンボスを施すか、挟み込む材料(スペーサ)の厚みでLEDチップの高さを吸収し表面シートと接触しないようにします。同様に抵抗、ダイオードなどの実装可能です。
上記の2つは、LEDチップ高さを挟み込む材料の厚みで吸収し、表面シートをフラットにしているが、LED窓にエンボスを施すことでLED高さを吸収することも出来る。表面シートが凸となることでスイッチの総厚が薄く出来るメリットがある
LED窓に拡散印刷をしない(PET素材色)場合は、LEDチップが丸見えになります。
拡散印刷をした場合は、LEDチップは見えません。発光もソフトになり、窓全体が光ります。
数字や文字を表現する7セグLEDの場合は、赤や紫等のスモーク印刷をします。外光が入り7セグ樹脂部が光らないようにし、発光セグメントと発光していないセグメントにメリハリが出るようにします。
光源が近いと広範囲(面)で光りません。窓全体を光らせるには表面からLEDを遠ざけたり、導光板で光を誘導・拡散してやることが必要です。
また、メンブレンスイッチは透明なPET材と粘着材が主な材料で出来ています。透明PET材を介して透過してしまうことがあります。外周に近い位置や機能目的の異なるLEDが隣接しているようなときは光が漏れ、干渉しないように壁で遮蔽してやる必要があります。
インバータ回路で広いエリアで光らさせたい場合は、EL面発光で光らせる方式も選択できます。
部品実装
はんだ付けとは、ちょっと違うLED手付け作業例を紹介します。 へリンク
LEDチップ 1.0×0.6 t=0.2mm
プリント基板とはんだでは当たり前に使用されるこういった超小形・薄型LEDをPETシートに銀付けできることで、表面シートのエンボスや、スペーサ材料厚みでのLEDチップ高さ調整が不要になります。
クリンチャーコネクタ、ラグ付ハトメ
プリント基板とメンブレンスイッチを接続する方法は、コネクターにテール先端を挿すだけではありません。
基板のピンコネクター(オス)と接続するためにクリンチャーコネクタ(メス)を取り付けたり、金属端子をカシメる(爪を貫通させて折り曲げてあり取り外すことは出来ません)ことで電線を直接はんだ付けすることも可能になります。
上記のハウジングなし、端子のみ。テールにはカシメられ、直接端子にはんだ付けが出来るようになります。
注意:コンタクト面のインク剥がれ
コネクターに挿入するテール先端の写真ですが、数十回の挿抜に耐え切れず、インク層(導電層)が剥離してしまったようです。導電性のインク層が薄くなり裏が透けている状態です。このようになってしまうと、コネクター接線との接触がうまくいかず抵抗値が高くなり導通が妨げられてしまいます。
コネクターは金属の爪のようなものです。メンブレンスイッチは、インク層で厚さも十数ミクロンしかありません。銅箔で出来ているFPCのように何度もコネクターの抜き差し出来るものではありません。
カーボンをオーバーラップしてやることで、銀の剥離強度は増しますが、剥離は起きますので、むやみな抜き差しは控え5回以内にとどめるようにしてください。
※カンナ(コネクター端子)でインク層を削るようなものです。
注意:イオンマイグレーション(エレクトロケミカルマイグレーション)
(絶縁不良の一つ)イオンマイグレーションとは、配線間に電位差がある状態にて、絶縁材の吸湿、水分の吸着により、配線の金属がイオン化し高電位から低電位へ樹状に移動(析出する)し、線間抵抗値の低下や線間短絡となる現象です。配線間が狭ピッチでは、線間短絡で故障しやすくなります。
■写真■ 外部リンク参照
これは、絶縁体(PET)の上を銀インク(イオン化して)が溶け出して還元されることで短絡を起こす現象で、樹状に毛細血管のように伸び結果として隣の回路が繋がり短絡します。
水に濡れたり、湿度の高い環境で使用される場合は、銀パターンは露出させないように全体をレジスト印刷したり、接点部、テール先端の空気と触れる部分はカーボン印刷でラミネートすることが得策です。
注意:テールの折り曲げ、挟み込み
メンブレンスイッチは、PET材に導電性インクを印刷したものです。コネクターの抜き差しでインクが剥げてしまうことを説明しましたが、折ることでインクの層が(クラック)断線してしまうことがあります。
梱包箱など印刷された硬いボール紙を折ると、谷折り山折りで印刷が切れてしまうことが分ると思います。
メンブレンスイッチのシートも同様で折りジワがつくように折り曲げたり、筐体で挟みつけるようなことは、パターン断線に至ってしまいます。くれぐれも折ジワが付かない程度の曲げで使用してください。どうしても折る必要がある場合は、印刷面が外に来る山折りは、折って頂点となったところでインク層が伸び絶えられずに切れてしまうイメージが出来ることから、印刷面を内側に谷折りにしたほうがクラック断線が起き難いともいえます。
FPCタイプ
FPCベースであれば、はんだでLEDやタクトスイッチを実装したり、メタルドームシートを直貼りしてドーム接点とすることも可能です。FPCは、銀印刷ベースとは違いプリント基板と同じ金属箔のパターンなので、コネクターの抜き差しによる剥離や折り曲げによるクラック断線などは起き難くなります。
スイッチをプリント基板に実装し、その上に操作部(表面シート)をつけたメカニカル・スイッチ
FPCにタクトスイッチ、LEDをはんだ付け
タクトスイッチは、タクティールスイッチとも呼ばれ「感触のあるスイッチ」という意味で、人が操作部を押下することで電気回路を通電させます。押すとオン、離すとオフになるモーメンタリ動作になります。操作したことを実感できるクリック感は、スイッチ内部の反転ばね(メタルドーム)で作り出しています。この反転ばねの材料や形状により、操作ストロークの大きさや感触のシャープさが変化します。
反転ばねが接点を兼ねており、固定接点との接触で通電させています。
静電容量スイッチ(透明電極タイプ)
透明タッチセンサーなので、スイッチに触れると絵柄を照光することができます。
LCDパネルの上に置いて、タッチパネルのようにポイント位置を自由にプログラムすることは出来ませんが、電極位置を固定で、キーの文字やロゴを光らせることは可能です。
表面がアクリルになったタッチセンサーなので高級感のある製品へのスイッチとしていかがでしょうか。
余計な貼り合せがないので、防水スイッチとしての使用も出来ます。
スイッチはフラットなのでクリック感はありませんが、オプションでバイブレーション機能も追加出来ます。
薄いので曲面へ貼り付けスイッチとして使うことも可能です。センサーシートが剥がれない程度のR面となります。
静電容量シート単体
静電容量シート単体
一般的には高価なITOフィルムをエッチングしてパターン化しますが、スクリーン印刷応用方式をご採用頂くことでお客様のご負担が軽減されます。
スクリーン印刷応用方式の利点
- 1枚からの小ロットでもご対応致します。
- 社内一貫生産ですので、短納期にも対応可能。
- 必要最低限の材料で製作が可能な為、安価でご提供が可能です。
静電容量スイッチの特長
- 人が触れることで起きる電荷変化を検知しています。手袋からでも指先を近づけると検知します。
- 意匠パネルの下に設置する為、圧倒的な耐久力。機械的動作がないため故障が激減します。
- LEDの光が透過する為、ロゴや文字を照光させ光を活かした美しいデザインが可能です。
センサーシートは薄いフィルムで出来ているので、平面取り付け以外にも湾曲させて使うことが出来ます。貼り付け最小Rは、お問い合わせください。
一方スペーサ材など粘着材を貼り付けて絶縁距離を保っているメンブレンスイッチは、湾曲面へ貼り付けて使うことは困難です。粘着が剥がれてしまったり絶縁不良を起こしてしまいます。
原理
静電容量とは、導体が電気エネルギーを蓄える量をあらわします。 電気エネルギーを蓄えた導体(キー等)に、誘電性(電子を引き付ける物質)である人間の指が近接すると、電気エネルギーが人間に移動するため、静電容量が変化します。 この静電容量の変化から、検出するのが静電容量技術です。 何も操作しなければ、電界は安定し続けますが、人間の指が近接すると、電界は変化しその部分の静電容量値が変化します。 (押下式のスイッチとは違い)表面を強く押さなくても指が触れた(近づいた)ことを感知しますので、静電容量方式のキーは、劣化もなく高い信頼性を保持できます。